公益社団法人 田川青年会議所
第61代理事長 井上 拓弥

【共越】

~どんな困難にも共に越えてゆこう~

私は田川が大好きです。
 1987年8月、私は田川市で生まれ、それから今日にいたるまでの35年間、ずっとこの町で生活をしてきました。この町で生まれ、この町で暮らし、たくさんの仲間と出会い、そして愛してやまない最愛の家族ができ、この田川という場所でたくさんの幸せをもらうことができました。しかし、時代は常に変化し続け私はこのかけがえのない家族や仲間が、ずっと幸せを感じることのできる街にしたい。その想いのもと私は歩みを進めてまいります。

はじめに

 2020年1月、全世界に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症から世界情勢は混乱が続き、2022年にウィズコロナとしてようやく落ち着きを取り戻すかのように感じ始めたころに、ロシアによるウクライナへの軍事進攻や、インフレによる物価の上昇など私たちの生活に大きく関わる問題が次々と起きています。この困難な状況が続いている中で、我々青年世代が周りに流されながら流れに身を任せるのではなく、地域のために自ら考え行動し、突き進んでいかなければなりません。その一人ひとりが想いを馳せ、行動に起こすことで、人が、町が、地域が動き、その行動がいずれ国や世界まで伝わり、すべての人の生活が豊かなものになっていくことが大切だと考えます。

田川青年会議所とは

 1962年、日本の主要エネルギーであった「石炭」から「石油」へと変わりはじめ、国内有数の産炭地として発展していた田川地域も炭鉱の閉山とともに人口や経済も衰退しはじめ、寂しさを感じさせている時代に「田川をどうにかせんといけん!」という篤い想いを持った33名の青年によって全国で224番目の田川青年会議所は設立されました。そして本年は設立から61年目を迎え、これまで私たちの先輩方が地域のために何が出来るのか真剣に向き合い、これまで歩みを止めることなく運動を起こし続けて頂いたおかげで我々もこうして地域のために運動を展開していくことができるのです。

ビジョンの提言からの1年目

 2022年度に60周年という節目を迎え創立式典の際にビジョンの提言を地域の皆様方に向けて我々が今後運動を進めていくための提言をさせていただきました。過去5年を振り返り、検証を行った中で大きく分けて3つの課題が見えてきました。

まず、一点目に、我々が行っている事業に対しての課題です。
私たちも日々試行錯誤し、また地域の皆様方からのご支援も頂きながら、運動を行ってきましたが、地域住民の方からの認知度が決して高いとは言えず、我々の思いが、一番伝えたい地域住民の方々へうまく伝えることができていないという問題点がありました。

そして二つ目に我々組織に対しての課題です。
私たちは20歳から40歳までの組織です。40歳で会議所を卒業していき、また、入会5年以下というメンバーが過半数を占め、先人の想いを正確に引き継いでいくことに難しさは年々増し、また、所属メンバーの家庭や仕事での役割の増加という時代の変化に対して組織として、「前回と同様に」といったような問題の先延ばしをする傾向から我々が行う運動に対する知識や新たに考え行動するという力が低下している要因がありました。

そして三つ目に取り巻く環境の変化です。
社会情勢の変化として感染症の流行、自然災害の増加、人手不足と深刻な少子化、田川の経済の変化。そして、価値観の変化として働き方の多様化や世代間の情報格差、社会的規範などに関わるコンプライアンスなど過去と現在では大きく考え方は変化していますし、これからも変化し続けていくであろうと思います。

地域のために

 様々な問題を抱え、困難な状況だとしても私たちは幸せのために常に突き進んでいかなければなりません。私たちが行う事業は見た目や形にとらわれるのではなく、中身を見つめ、「地域のために何が出来るのか」、「人のために何が出来るのか」田川青年会議所メンバーが真剣に向き合っていかなければなりません。我々が地域と向き合い、常に町の未来を想うことで必ず私たちの暮らす田川地域がより良い場所になり、多くの人が集える魅力ある地域になると確信しています。

組織力の向上

 地域のために運動を起こしていくには組織としてのスキルアップが絶対に必要不可欠だと考えます。問題点でもありました、社会情勢や価値観の変化に対応するには、組織としてより良く常に変わっていかなければなりません。我々は会社とは違いそれぞれ生活スタイルの異なるメンバーが集まっています。その一人一ひとりのメンバーの能力や、活動できる時間は違えども、田川のために自らの想いで貢献していけるような体制を作ります。みんなで考え、良いと思うことは積極的に挑戦し、ダメだったら、また考え挑戦すればいい。そうやって常に前を向いて組織として常に運動を行ってまいります。そうすれば我々が行っているすべての事柄が地域へと広がり、私たちの想いに共感してもらえる人が増え、自ら選んで青年会議所で運動したいという青年が一人でも多く入ってくれるような姿を実現するための組織づくりを行ってまいります。

個々の力

 ひとりの力なくして組織の力はない。
私がひとりでどんなにリーダーシップを取ろうにもメンバー一人ひとりの力がなければ組織としての成長はあり得ません。地域のために、家族のために、個々が力強い想いを持ち、行動し、実践していくことで、自ずと組織は上向き、それがより良い事業の構築につながっていきます。それぞれが他を想い、協力し合い、個々の力を結集し、目標に向かって進み続けることで、我々は常に進化し、持続可能な団体へと成長していくことが可能だと考えます。

地域の行政や他団体との連携

 私たちが運動を行っていくためには私たちだけの力だけではなく、必ず地域の力も必要不可欠だと考えます。地域の行政、各諸団体の方はもちろんのこと、たくさんの地域住民の方々にも我々田川青年会議所の存在を知っていただくとともに、私たちが率先して行動し、地域を巻き込み運動を展開していくことで田川がより良い街へと変わっていくと確信します。また、2024年に福岡県内に22カ所ある青年会議所のメンバー約2000人が会する福岡ブロック大会が田川の地で開催されます。この大会が田川地域で開催されることは田川地域の魅力を福岡県内外に発信できる絶好の機会の場であると考えます。社会、経済状況が多くの困難を迎えている今、2023年度は行政や地域の諸団体の方々と2024年度に向けてさらなる連携関係を構築し、地盤強化をしていくことで、魅力あるこの田川地域を一緒に盛り上げていきたいと考えます。

最後に

 私たちは「明るい豊かな社会の実現」を目指し、20歳から40歳までの青年が日々邁進しています。その目標は決して簡単なものではありません。時代はめまぐるしく変化し続けています。たくさんの問題や困難も待ち受けているでしょう。でも私たちは大切なものを守るために、これからどんな困難があろうとも青年が青年らしく挑戦し続けます。そうすればいつか必ず私たちが目指す目標にたどり着けると信じています。