公益社団法人 田川青年会議所
2020年度 理事長所信

緒方 孝生

「Where there is a will,
there is a way.」

~意志あるところに道は拓ける~

はじめに

 1949年、戦後の復興間もない焼け野原を見た青年達が「新日本の再建は我々青年の使命である」と篤き志を抱き立ち上がり、日本の青年会議所が誕生した。そしてそれから13年の時が経った1962年9月22日、エネルギー革命により、かつて日本有数の産炭地として栄えたこの田川の地にも経済基盤の大きく揺らぐ波が押し寄せ、困難な時代を迎えようとしていた時、33名の篤き使命感を持つ青年達により全国で224番目の青年会議所が誕生した。

Where there is a will, there is a way.

 「意志あるところに道は拓ける」アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの言葉である。偉大なる先人達と同じように我々の尊敬する多くの先輩達も57年に渡り、時には困難に立ち向かい時には時代の先駆者となり、やり遂げる意志を持ち続け道を拓いていったに違いない。平成の時代が終わり、令和の時代へと移り変わった中、様々な困難が待ち受けている。人口減少、自然災害、少子化、超高齢化社会、キャッシュレス社会、上げていけばきりがない。そんな新しい時代だからこそ我々青年が今一度改めてやり遂げる意志を持ち、新たな道を切り拓いて行かなければならない。

求められる人財開発育成

 国連関連団体により毎年発表される国別の幸福度ランキング。日本は先進国の中では毎年下位の方を彷徨っている。上位の国々をみると、いち早くダイバーシティの重要性に着目し、ジェンダーギャップを縮める取り組みを行い、社会保障と質の高い教育に力を入れている国々である。なぜ日本はその取り組みや運動が進まないのか。様々な原因はあると思うが、まず一ついえるのがその取り組みや運動を行える人財が圧倒的にいないからである。都心部と大企業だけがいち早く取り入れ地方は取り残されている現状の中、グローバルな考えをもち新しい取り組みや運動をいち早く取り入れ実践できる人財の育成が取り残されない持続可能な地方を創生するために急務であると考える。

 様々な多様性がうごめく現代社会において、いかに若い世代から何事にも偏見なく公平性、客観性をもつことを身に付けられるかがこの先最も重要であり、それを学べる環境作りが大事になってくる。生産年齢人口は過去最低を更新し続け、その分年々外国人労働者の数も増え、国内だけ見ても国際色豊かな世の中になってきた今だからこそ、様々なことを学べる機会を掴めるチャンスがあるはずだ。この機会の提供を我々青年世代が行えるようになれば、次世代を担う子ども達の中からグローバルな視野をもった人財が生まれ、世界で活躍できるような人財に成長することで、必ずや地域への貢献へとつながり、またその先の子ども達への夢を与えることにつながるはずである。

持続可能な地域力開発

 「SDGs」、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標である。持続可能な世界を実現するため、地球上の誰一人取り残さないことを誓っているこの国際目標を、日本も政府主導の下、積極的に取り組んでおり、日本JC本会も日本で最もSDGsに取り組む団体を目指すことを宣言している。我々が住み暮らすこの田川地域を取り残されない、また誰一人取り残さない持続可能な地域にするため、我々も積極的にこのSDGsに取り組み、地域に推進していく必要があると考える。そのためにもこれまで以上に行政、また各種団体と強固な信頼関係を築き、連携を深めて行かなければならない。人口減少、少子化、超高齢化社会に突入した今、我々青年会議所だけではなく、行政、各種団体と手を組み広域的で展開力のある運動を行うことでこの田川地域に眠る地域力を掘り起こし、手を組み合ってできた輪を大きな輪にしていくことが、未来を見据えた田川の明るい地域社会の創造につながると確信している。

 2020年、夏季オリンピックとしては日本で2回目の開催となる、第32回オリンピック競技大会、東京2020年パラリンピック競技大会が開催される。この開催に向けて日本全土で盛り上がりをみせてきている中、この田川地域にも大きなインバウンドのチャンスがあり、福岡県と田川市の取り組みにより田川市がドイツとベラルーシの車いすフェンシングチームの事前キャンプ地に決定している。この交流人口の増える大きなチャンスとなる年に、定住人口と交流人口が交流を図れる機会を作り、この田川地域の魅力を発信することで、2020年だけでなく、この先5年、10年と中長期的なビジョンでインバウンドを促進していくための、モデルケースとなるような年にしなければならない。

 毎年40万人ずつ減って行っている日本の人口、この先、遠くない未来に毎年200万人が亡くなり、90万人しか生まれてこない時代がやってくる。当然田川地域の人口も確実に大きく減っていく。そんな時代に地方が存続していくために最も力を入れて取り組まないといけないのがインバウンドである。いかに地域の魅力を発掘し、発信し、来てもらい、移り住んでもらい、交流人口を定住人口につなげていくか。この問題を、官民それぞれで行っていても効果が薄いと考える。こんな時代になっていく今でこそ、手を取り合い地域全体で取り組んで行かなければならないし、責任世代である我々田川青年会議所がその旗手となるべく率先して他を巻き込み、その運動を行っていかなければならない。

新たな同志の発掘

 人口減少に伴う全国的にみる青年会議所会員の減少。これは田川青年会議所においても最も重要な問題であり、可及的速やかに対応し解決しなければならない。人口減少、経済の冷え込み、労働者不足、会員減少には様々な原因があると思う。しかし、会員減少により組織力が低下し、事業費は年々削られ、メンバーのモチベーションも下がっていくのをただただ何も手を打たず見ているだけでは、この田川青年会議所も持続可能ではなくなっていくだけである。今こそメンバー一人ひとりがその危機感をもち、会員拡大に全員で取り組んで行かなければならない。新たな同志の発掘は組織力向上のためだけではなく、会員が増えれば、またそれだけ地域のための人財が増えることにもつながる。転換期ともいわれるこの新しい時代に突入した今だからこそ、一人でも多くの同志を発掘し、共に未来を創造できる人財へと成長することで、必ずや田川青年会議所の発展へとつながり、地域の発展へと波及するはずである。

組織の変革

 平成の時代、「失われた30年」といわれた時代が幕を閉じた。バブル崩壊後の20年を「失われた20年」といわれ、どこの組織も変革が推し進められ、時代に沿った姿へと形を変えないと生き残れない時代になったはずだったが、その後10年も経済の低迷から脱却できず、貧困率は悪化し、「失われた30年」といわれる時代になってしまった。我々青年会議所も一組織として、社会の変化についていき、時代に沿った組織へと変革していかなければ、この先衰退し消滅していくだけである。時代を担う若いメンバーのためにも、様々な角度から組織を見直し、良き伝統は守りつつも、新しく変えていかなければならない所は失敗を恐れることなく積極的に変えていかなければならない。法人格の見直し、継続事業に代わる新たな事業の創出、産休・育休制度の導入、ペーパーレス化の実施、魅力あるホームページの運用、新たな連絡伝達システムの構築等、取り組んで行かなければならないことは多々ある。2020年、時代に沿った組織へと変革を遂げ、地域をリードする組織へとなることが求められている。

結びに

 我々田川青年会議所は2年後60周年を迎える。50周年からの10年で考えると本年は、50周年で打ちたて描いた10年のビジョンを検証し、60周年で新たな10年後のビジョンを描くための見直し、再計画の年になってくる。2020年、平成から令和へと時代が移り変わり、多様性が問われる新たな時代に突入した今こそ、我々田川青年会議所は、地域から必要とされ、地域をリードする組織へと変革を遂げるためにも、どんな困難にもかけがえのない仲間とともに、やり遂げる意志をもち、道を切り拓いていく。

「Where there is a will, there is a way.」

「さあ、かけがえのない同志達よ、共に新たな道を切り拓こう。」